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2001/07/15

TGV "Med"に乗ってマルセイユ


文と写真:林瑞絵/佐藤真/ダン・ベロー





パリとマルセイユを3時間〜3時間15分で結ぶTGV Méditerranéeが開通し、遠い感じだったマルセイユがぐんと近くなった。
オヴニー・スタッフ3人は、さっそく地中海に面したこの大都会を訪れた。サン・シャルル駅に降り立つと、もう、どこか海の光、潮風の匂い…。パニエ地区の古い街並みを散歩したり、船でイフ島に渡ったり、ル・コルビュジエ設計の団地を訪れたり、ピザやとれたてのスズキの塩焼きを食べたり、一泊二日の忙しい旅だったが、庶民的で、コスモポリタンなマルセイユの魅力のトリコになってしまった。

マルセイユの人たちは、この "地中海TGV" でパリ文化が押し寄せてくるのを警戒しているようだけれど、パリでマルセイユ風な生き方が大流行するのでは、というのがオヴニーの予言です。


マルセイユっ子が愛飲しているアペリチフといえばパスティス。このマルセイユ特集号を記念して、
カザニス、51、リカールの三種のパスティス試飲会。7月19日17時半より、エスパス・ジャポンにて(9 rue de la Fontaine au roi 11e 01.4700.7747)。
参加無料。




特集目次

蚤の市の喧噪、パニエの静寂。

ボレリ浜でパスティス、オーフ湾でスズキの塩焼き。

レイモンさんは、パニョルの映画から抜け出たようだ。

Infos pratiques

蚤の市の喧噪、パニエの静寂。  
 やはり潮風を感じてこそマルセイユ! というわけで迷わずVieux Portから船に乗り込み、デュマの小説『モンテ・クリスト伯』の舞台、小島イフ城Chateau d'Ifへ(1)。石造りの白壁が美しい要塞だけど、16世紀からは刑務所としても使われていた。だから独房の入口には「ここで火刑に処す」とありちょっと怖い。城のまわりにはカモメがゆったりと青空に漂い、風景に溶け込んでいる。かつてこの島の囚人たちはカモメの姿をどんな思いで眺めていたのだろう。
 さて次なる目的地は「手に入らないものはない」という評判のArenc蚤の市。Lyon Oddo駅バス停で降りると、車道のわきからすでに露店が溢れ出し、老いも若きも押しくらまんじゅう。食べ物、衣類、ガラクタが混合し、色と臭いと熱気が渦巻く。私は3箱10フランのお香と5フランの乾電池セットを購入。カメラを持って歩いていると、どこからか「僕を撮ってよ」という靴屋の青年の声が飛んできた。ファインダーを向けると、彼はお母さん(?)の肩を引き寄せにっこりポーズ(2)。ここの露店は屋内、屋外と二種類ある。屋内の巨大食料品マルシェに足を踏み入れると、籠に生きた鶏をいっぱい入れた鳥肉屋さんに出くわす。注文が入ると籠から鶏をわしづかみにし目の前でオダブツ…(3)。食料品市のはずなのに突然床屋が現れるいい加減さも楽しい。 
 マルセイユ中心部に戻る。パン屋さん(Rue de la République)でマルセイユの名物菓子ナベットを発見(4)。1個3フラン。オレンジアロマとサクサクの歯ごたえを楽しみながら、パニエ地区に向かう。




 
   
 村の雰囲気が残っているこの地区のハイライトは、Place des Moulins。パステルカラーの壁の家が仲良く並ぶメルヘン調の空間だ。ここはかつて15ものムーラン(風車)があったとか。Passage de Loretteでは洗濯物が空高く舞い気持ち良さそう(5)。Rue du Petit Puitsにはアトリエが連なる。彩色石膏人形のサントン(6)、マルセイユ石鹸、チョコレート…。どこも制作の様子を見学できる。サントンのアトリエでは職人さんが熟練の手つきで人形に服を着せている。このあたりは坂道が多く、路地は人影もまばら。時おり近所の子供たちが通り過ぎるが、目を閉じれば彼らも神隠しにあってしまうような錯覚さえする(7)。繁華街はすぐそこなのに、パニエ地区は、異国の迷い道にまぎれ込んだような静かな時間を与えてくれるのだった。(瑞)
 

ボレリ浜でパスティス、オーフ湾でスズキの塩焼き。  
 プラド浜plage du Prado(Vieux Portから83番のバスで20分位)から歩いて10分ほどのボレリ浜 plage du Borely は、家族連れやビーチバレーを楽しむ人でにぎわっている(1)。水もきれい。日焼けしていない白肌をマルセイユっ子にさらすのが恥ずかしく、海パンを持ってきていないのが、残念!幸い、浜までせり出したカフェのテラスでは、みんな夕食前のアペリチフを楽しんでいる。さっそく見習うことにした。同行のダン君が「マルセイユでは単にパスティスではダメ。銘柄で注文しなきゃ」と急にまじめな口調になる。「Trois "51" s.v.p.! 」ハーブまぶしのオリーブなどといっしょに乳白色のパスティスが登場(2)。うまい!
 プラド浜から中心部に戻る83番のバスに乗り "Vallon des Auffes" で降りて夕食という手はずだったのだが、海水浴帰りの若者で満員のそのバスも愉快だった。彼らがイタズラで停止用のボタンを押してばかりいるので、運転手が怒ってしまい「停止のライトがついても停まらない」。あっ、僕らのバス停を過ぎてしまった! "On descend!" と大声をあげたら、やっと停まった。


 オッフル湾(3)は小さな漁港だが、今は、魚介料理の専門店が何軒かあり、マルセイユっ子たちが夕涼みをかねて食べにくる。僕らが予約しておいた Café des Arts はグリル専門店だ。獲れたてというスズキの塩焼きに舌鼓(4)。前菜にとった赤ピーマンのサラダも南仏の味。コトー・デックスの赤ワインの酔いにまかせて中心部まで歩いたけれど、30分ほどで着きました。
 翌日の朝は、Vieux Port の魚市見学(5)。漁船の生け簀からあげられたばかりの魚の活きのよさ!でも値は張る。ブイヤベース用の岩礁の小魚でもキロ100F以上だ。そこからまた83番に乗りEndoume下車、マルムスクMalmousque街へ。地中海に投げ出されたような岩礁の上に家が立ち並び、小さな港の先端には漁師の家なども残っている。海岸沿いにカフェやレストランがないせいか、静かな散歩ができる。フリウル島を目前にした岩場へと下りる階段が何カ所かにあり、気持ちよさそうに日光浴する人たちの姿も見える。美人が多い。








ミストラルで海に白波が立っていた。
 マルセイユっ子がピーズと呼ぶピザ(大20F)のうまさも涙もの。そのピーズを夕食用にとTGVの中に持ち込み、まわりの失笑を買ったが、僕らが食べはじめると、そのまわりは…唾を飲み込んだ。(真)

レイモンさんは、パニョルの映画から抜け出たようだ。  
 サン・シャルル駅にTGVが着いたのが12時半。ホテルに向かいながら、お昼ごはんに入ったレストラン…アンチョビー入りのピーズ(ピザ)のおいしさもさることながら、隣のテーブルで食べていたレイモンさんは、マルセル・パニョルの映画から抜け出たような人物だった(1)。典型的なマルセイユ訛り、派手なジェスチャーで、話もどんどん大げさになり、とどまるところを知らない。ちょっと疲れました。
 マルセイユといえば、フランスのサッカークラブでは唯一、欧州チャンピオンリーグ杯を獲得したOlympique de Marseilleを忘れるわけにはいかない(2)。記念館でもあるのでは、と彼らの競技場Velodromeに出かけてみたがガッカリ。貧弱な売店と優勝杯のコピーがいくつか飾ってあるだけ。その足でquai des BelgesにあるOM Cafe。壁にはOlympique de Marseilleを栄光に導いた名選手たちの写真が飾ってある。カウンターでは、ファンたちがパスティスを飲みながら、来シーズンの選手移籍予想などでおおいに盛り上がっていた。
「私の英雄は、 レーニン、毛沢東、イエス」
「私の英雄は、
レーニン、毛沢東、イエス」

 ル・コルビュジエが、彼の "citeradieuse(喜びに満ちた団地)" 理論に基づいて設計し、1947年から51年にかけて建設された団地は、Velodromeから遠くない。マルセイユの人が "la maison du fada(頭のおかしな人が建てた家)と名付けたくらいに当時としては画期的な団地で、暖房、防音、換気技術を総動員した17階建て。337のアパートがある。8階には食料品店、パン屋、ホテル。屋上がすごい。子ども向けのプール、保育園、ジョギング用トラック、小劇場!(3)
 翌日は、マルセイユを見下ろしながら、守護しているNotre-Dame-de-la-Garde教会へ。巡礼なら急坂を歩いて登るところだろうが、quai des Belgesから観光客向けのチンチン電車に乗る方が楽。教会前広場からの眺望の素晴らしさ!内部の壁は、ex-votoと呼ばれる、遭難や戦争の悲劇を描いた絵馬や遭難船の模型で一杯だ(4)。このex-votoを見ながら数々の不幸を思い出すのだとか。

「まっすぐゴールへ!」
というOMの合い言葉が見える。


 バス83番のお世話になって、マルセイユっ子の浜として知られ、元旦には勇気ある人たちが海水浴を "苦しむ" というplage des catalansにも出かけてみた。28Fを払って浜に入ると、水が思ったよりずっときれいだし、風が強かったせいもあるのだろうが混んでもいない。三つのコートでビーチバレーの熱戦が繰り広げられていた(5)。
 ホヤvioletを初めて食べて、その不思議な苦さのトリコになってしまったことも、いい思い出になった(6)。





(ダン)



 


●TGV "Med"
片道料金は2等で80.9eurosから。J30(出発2カ月〜1カ月前に予約。50%引き)、J8(1週間前までに予約。25% 引き)、他の割引きも通用するが、割り当てが限られているので、早めに予約。
●地下鉄
2線。平日は21時まで、週末は0時まで運行。週末旅行には、バスにも使える一日パス4.5eurosが便利。地下鉄各駅やタバコ屋で販売。
●バス
マルセイユの隅々まで行き渡っている。観光局でバスの路線地図を手に入れること。海岸線に沿って走っている83番が気持ちいい。
●観光船
château d'If(10euros)やîles de Frioul(15euros)への観光船はquai des Belges から。calanques(入り江)周遊コースに乗ってみたい!(所要時間約4時間。25euros)
詳細は0825 136 800 www.croisieres-marseille-calanques.com
●Ferry boat(運行廃止)
パニョルの "César" などでおなじみ。Hôtel de villeとplace aux huilesをつなぐ渡し船。湾の風に吹かれながらの数分の旅。片道3F/往復5F。
●Petit train
Notre-Dame-de-la-Gardeまで登っていく。quai des Belges発。片道7euros。


●レストラン
-Toinou coquillages
ホヤ(1個6F)を食べた店。海の幸を手ごろな値段で味わえる。無休。
3 cours St Louis 1er 04 91 54 08 79

www.toinou.com


-Le Cafe des Arts
これはスズキの塩焼き(130F)の店。
122 vallon des Auffes 7e 04 91 31 51 64

-Shabu Shabu
日本料理店。
30 rue de la Paix 1er 04 91 54 15 00

-Pizzeria de l'Etoile
レイモンさん! 日・月休
11 rue d'Aubagne 1er
04 91 54 07 31

-La part des Anges
流行りのワインバー。食事も可。33 rue Sainte 1er
04 91 33 55 70

●ホテル
-Tonic Hotel ***
43 quai des Belges 1er
04 91 55 67 46

www.hotel-de-marseille.com/


-Hôtel Le Corbusier **
280 bd Michelet 8e
04 91 16 78 00
www.hotellecorbusier.com/


-Hôtel St Louis **
2 rue des Récolettes
04 91 54 02 74
www.hotel-st-louis.com/


●日本総領事館
Consulat General du Japon :
70 av. Hambourg 8e 04 91 16 81 81
●観光局
Office du tourisme de Marseille
4 La Canebiere 1er 04.91.13.89.00
www.marseille-tourisme.com/
●ガイド
ガイドブックのおすすめはautrement発行の"Marseille"(89F)。読んでいるだけでも、マルセイユの街とそこに住む人たちの姿が見えてくる。ホテル、レストランなどの情報も充実。キオスクで手に入る"hebdo Marseille"(6F)にはコンサートなどの文化情報がいっぱい。

●主な美術館
-Musée des Beaux-Arts
16世紀から19世紀までの絵画。
Palais Longchamps 4e (月休)
-Musée de la Faience
17、18世紀のマルセイユ地方の陶器ほか。
157 av. de Montredon 8e(月休)
-Musée d'Archéologie Mediterraneenne
エジプト、ギリシャなど地中海の考古学博物館。
2 rue de la Charite 2e(月休)
-Musée d'Histoire de Marseille
ショッピングセンター建設中に発見された遺跡。
ローマ時代の港を再現しているのが興味深い。
Centre Bourse 2e(月休)

*その他の美術館についての問い合わせは
www.mairie-marseille.fr

●蚤の市
メトロBougainville駅からバス25、26、36、70番に乗りLyon Oddo下車。水〜日曜にオープンだが、日曜が最大規模になる。
●サントンのアトリエ
12 pl. de Lorette 2e/
47 rue Neuve-Sainte-Catherine 2e

*毎年11月の最終日曜から12月中旬にかけて約200年の歴史を持つサントン人形市が開かれる(les allees de Meilhan)。

●マルセイユ石鹸の店
La Compagnie de Provence:1 rue Caisserie 2e Philippe Chailloux:18 rue Francis Davso 1er

●Velodrome
Bd Michelet 8e メトロRond-point du Prado駅

●ル・コルビュジエ設計の団地
280 bd Michelet 8e バス21、22線
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