| 想像力が刺激される。"Eija-Liisa Ahtila" | |||
| フィンランド出身のビデオ・アーティスト、エイヤ=リーサ・アハティラのフランス初の回顧展だ。といっても、1959年生まれだから、まだ若い。90年代初めから頭角を現し、いまや世界で有数のビデオ作家とみなされている。 良い展覧会を見た後は、想像力が刺激されて、頭の中が広がったような気持ちになる。この展覧会が、まさにそうだった。 "Where is where ?" は、植民地主義を扱った作品だ。アルジェリア戦争当時、二人のアルジェリア人少年が、仲の良かったフランス人少年を殺した話に、現代に生きるヨーロッパ人の詩人の内面の葛藤が絡む。けれども、植民地主義を告発するだけの映画ではない。50年代末のアルジェリアとまったく関係ないかにみえるヨーロッパ(たぶん北欧)人女性が、時と空間を超えて、アルジェリア人たちと同時に同じところにいる。台詞にあるように、「どこがどこなのか、誰もわからない」。死神が詩人の家を訪ねたり、詩人が悪魔を呼ぶ口笛を吹くと、女性牧師が宙に浮く場面は、同じ北欧の映画作家、ベルイマンを想起させる。 "Consolation Service" は、若い夫婦の離婚を描いている。カウンセリングの場面で発散される憎悪のエネルギー。それが、誕生パーティの場面の温かい雰囲気に変わり、その後、二人が氷の下の冷たい水の中で死んでいくときの詩的な静けさにと、場の空気が四季のように移り変わっていくさまが美しい。 "The House" では、妄想に捕われた女性の心理状態を丁寧に描いている。 どの作品でも、会場一杯に写し出された、場面の異なる複数の画面が物語を重層的にしている。観客はどの画面を見てもよい。通常の映画と違い、画面を選択できるので、印象がさらに個人的なものになる。水族館で動く魚を追うように、映像を追うのだ。フィクション、特殊技術、ドキュンタリーなどを駆使できる実力、テーマの深さ、見せ方の独創性が、完成度の高い作品にしている。 ほとんどが映像作品で、英語字幕のものもある。"Where is where ?" は長いので、1時間に1本しか上映されない。しっかり全部見ようと思ったら、2時間半は確保して行こう。(羽) |
![]() ジュ・ド・ポーム。月休。3月30日迄。 |
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| G A L E R I E: Alain Blondel | |||
| 共同経営者3人と1971年に作った近代美術の画廊が消滅後、それを引き継ぐ形で、ブロンデル氏が1978年に創立した。1967年の出会い以来、タマラ・ド・レンピッカが死ぬまで彼女を紹介し続けたのがブロンデル氏だ。1999年にはカタログ・レゾネを出している。「今の時代に忘れられた1930年代の作家には、いつも興味があった」と言う。 画廊経営の前は映画作家だったという変わり種。それも美術専門で、1964年に、ギマールについての映画 "Hectorology" でベネチア映画祭の短編映画部門で金獅子賞をとったという実力派。 主に扱っているのは具象絵画だ。夢幻的なレアリスムのものが多い。「現実を超えたものを探している作家が好きです」とブロンデル氏。 開催中のクリスチャン・ルノンシア展にも、その好みが現れている。一見、しわくちゃの紙や、ダンボールでできた封筒に見えるが、実は木の彫刻で、近づくと木肌が浮き出ている。表現されたものと素材の組み合わせの意外性に意表を突かれる。日本でも評価が高い作家だ。(羽) |
![]() 128 rue Vieille du Temple 3e www.galerie-blondel.com ルノンシア展は3月1日迄。 |
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