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マスタードを塗ってウサギを丸ごと焼いてみた。
Lapin entier à la moutarde
 秋が深まってくると、ウサギにも脂がのっておいしくなってくる。肉屋さんに切り分けてもらって持ち帰り、白ワインで煮たり、秋の茸と組み合わせて狩人風にしたり、あるいはオリーブ油で炒めてからトマトなどとソテーして南仏風にしたりと、さまざまな料理を楽しみたい。今回は、オーブンで丸ごと焼いてど〜んと食卓に出す、野趣豊かな一品です。

 4人分として1.2キロくらいの小さめのウサギを頭だけはとってもらって丸ごと買ってくる。大きめのウサギは焼き上がりが固めになってしまうので避けましょう。
 まず目盛りを200度に合わせてオーブンに点火。ウサギのレバーを取り出す。大さじ4杯分のマスタードを、はけを使ってウサギの内側、外側そしてレバーにと、まんべんなく塗りつけたら、塩、コショウし、あらかじめ油を塗っておいたオーブン皿にのせる。その上からタイムを散らし、バターをちょんちょんとのせ、皿に水を150ccほど注いでから、熱くなっているオーブンへ。
 1時間ほどで焼き上がるが、途中、10分おきくらいにヨイショとウサギをひっくり返し、オーブン皿にたまった焼き汁を、やはりはけを使ってウサギの表面に丹念に塗りつける作業を怠ってはいけない。
 きれいな焼き色がついたところで、オーブンから取り出し、ウサギは切り分けやすいようにまな板の上にのせておく。オーブン皿は洗わず、そこへ生クリームと残りのマスタードを加えて、木のヘラで底をこするようにしながら肉のうま味を溶け込ませたら、小鍋に取り、泡立て器でかき混ぜながら、数分ぐつぐつ煮立て、必要なら塩、コショウで味を調える。
 ウサギを切り分け、ソースを上からかければでき上がりだ。付け合わせは、定番だけれど、タリアテッレを歯ごたえよくゆで上げてバターをからめたものがいい。ワインはシノンのような、適度に軽く品のあるロワール産の赤が合うだろう。(真)
1.2キロくらいのウサギ、マスタード大さじ6杯、液状生クリーム200cc、油、バター、なるべく新鮮なタイム、塩、コショウ

●ウサギの選び方
ウサギを買う時は、体つきが、ずんぐりとして、胴体にふっくらと肉が付き、肝臓が薄い色でシミがなく、腎臓の周りなどにある脂肪が真っ白なものを選びたい。シャンパーニュ地方、ポワトゥー地方などのウサギがおいしいとされている。

●ウサギの切り分け方
切り分けたウサギを用意したい時は、肉屋さんに頼むのが無難。すると頭t腎eを切りはずし、肝臓foieを取り出し、前肢patte、モモ肉cuisseを切りとり、胴体râbleを肉の付き具合が均等になるように三つくらいに切り分けてくれる。それも大きな包丁でバサッバサッとではなく、鋭利な中型の包丁で、関節の切れ目切れ目を切りはずすように切り分けてくれるはずだ。というのもウサギの骨をたたき割ると、鋭くとがって、食べるときに危険!
●ウサギの調理
ウサギの肉はトリ肉のように白いから、同じように調理すればいいと思われがちだが、トリのように脂肪分に富んだ皮がない。そこで、身がパサパサしないように、弱めの火加減でフタをし、じっくりと火を通すことが大切だ。煮込む時は、身が骨からもう離れそうというくらいが一番おいしい。味はかなり淡泊なので、エシャロット、タイム、ローズマリー、パセリ、マスタード、ニンニクなどを組み合わせて、その香りや風味をうまく生かして調理することが大切だ。

●ウサギのワイン煮
ウサギを、新タマネギやマッシュルーム、あるいはトマトなどと一緒にワイン煮にする時は、トリ同様に白ワインを使うようにとレシピに書いてあるのが普通だが、赤ワインを使うのも面白い。またノワイ・プラットのようなベルモット風味のワインと半々にするのもオリジナル。

●マスタード
 アブラナ科のクロガラシmoutarde noireやシロガラシmoutarde blancheの種を乾燥して粉末にしたものがマスタード。英国では粉末のまま市販されているが、フランスでは、この粉末に、verjusという熟成前の酸っぱいワインやビネガーを混ぜ入れてmoutardeを作っている。ディジョン産のマスタードはかなり辛いが、白ワインなども入っているので味がよい。モー産は、粗く挽かれたカラシの種の粒々が入っていて、それほど辛くはないが独特のまろやかな風味。和辛子がほしい時は、英国製の粉末に水を加えて好みの固さに練ることにしよう。
 

F R O M A G E
●Tomme de brebis de Corse
 コルス(コルシカ)島は、海岸線から山地がせり上がり、そんな自然の中で放し飼いにされた羊たちは、香り高い亜高山帯の草花を食べている。そこで、コルス島のチーズといえば、羊乳のチーズ。といっても、ブロッチウと呼ばれるフレッシュチーズ(山羊乳あるいは羊乳と山羊乳をミックスしたものも多い)をはじめとして、コルス各地で熟成度もさまざまな数多くのトム・ド・ブルビが作られている。熟成期間が短いものは、身もまだ白く柔らかく、クリーミーな味わい。熟成が進むにつれ、今回味わったトムのごとく、身は美しい象牙色になり、羊乳ならではのこくとうま味が出てくる。
 コルス島の山の中にあるレストランで、U Casigiu Merzuと呼ばれるチーズを食べたことがある。カーブから運ばれてきた陶製の器の中に、身はほとんど黄土色ともいっていいような大きなトム。誰も手を出さない。ついてきたスプーンですくって味わった。複雑神妙なおいしさ! 店を出たとたん、友人は「見なかった? チーズの中に5ミリくらいのウジ虫がうじゃうじゃ!」。U Casigiu Merzuは「腐ったチーズ」という意味らしい。(真)

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