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アフリカの現代彫刻展。
"Terre Noire"
 朝夕、庭で過ごすのが快適な季節には、パリ郊外で美術散歩を楽しもう。
 サンジェルマン・アン・レーのモーリス・ドニ美術館では、〈イヴリーヌ県のアフリカ年〉の一環として、ウスマン・ソウをはじめとする25人のアフリカ現代彫刻家の質の高いグループ展を開催している。いずれも、国内外で評価の定まった作家たちだ。常設展示室と庭園に配置された彫刻を、宝探しのように発見しながら見ていくのが楽しい。
 彫刻に強いジンバブエからは9人が出展。30歳で夭折したラメク・ボンジジの頭像には、西洋近代美術の影響が見られるモダンな美しさがある。 
 タプフナ・グスタの『避難民』は、頭部と衣服の部分が自然の石でできており、虚無僧のよう。
 コートジボワール出身のアブドラマンの作品は、夢の中に出てくるような不思議なミニチュアの建物。日本的な要素も含まれている。
 エチオピア人のミカエル・ベテ=セラシエが作る、洗練された色彩で覆われた巨大な人物や動物は、見る者を民話や神話の世界に誘う。
 ナイジェリア人のソカリ・ダグラス・キャンプの『Guns Teasing Suicide』は、等身大の人が笛を吹いているのかと思ったら、銃を口に当てているのだった。炎で頭が真っ赤になっている、衝撃的な作品だ。
 ガーナのジョー・ビッグ・ビッグやジンバブエのコリーン・マダモンベ、ドミニク・ベンフラは、女性の日常生活の場面を捉えている。赤ん坊のオムツを替える母親、子どもの手を引いて歩く母親など、ほっとする光景だ。
 ドニ美術館の庭には、ブールデルなどの西洋彫刻もある。美意識とドラマ性が前面に出て、緊張感の漂うこれらの彫刻と比べると、アフリカ人作家のものには、円空や日本の人形作家に通じる穏やかな人間味が感じられる。西洋では、カミーユ・クローデルにこれがある。(羽)はロダンも好きだが、ロダンに感激する心の部分と、マダモンベらの彫刻に引かれる心の部分は違うのだ。アフリカは遠い大陸だが、心情は限りなく日本に近い。(羽)


Changing the nappy
Dominic BENHURA
CR: Yves Tribes

Musee departemental Maurice Denis :
2 bis rue Maurice Denis, St-Germain-en-Laye
RER A線 St-Germain-en-Laye駅下車。
9月30日まで。10h-17h30、土日-18h30。月休。

G A L E R I E : Fondation Calouste Gulbenkian
 エトワール広場近くの財団で、ポルトガルが生んだ世界的な画家、ヴィエラ・ダ・シルヴァ(1908-1992)の展覧会が9月24日まで開かれている。
 ポルトガルに本部を置く文化財団のパリ支部だが、国営の文化センターではない。オスマン帝国で生まれたアルメニア人で、中東の石油交渉で財を成したカルースト・グルベンキアン(1869-1955)の遺産で作られた財団だ。グルベンキアンはポルトガルが気に入り、1942年から死ぬまで、リスボンで過ごしたのだった。 
 パリ支部の建物は、彼のパリの住まいだったところだ。1階と2階で、財団の所蔵品を元に、年に4、5回展覧会が開かれる。グルベンキアンは古代エジプトから印象派に至るまでの美術品収集家で、6〜7千点を所有していた。調度品がそのまま残っている部屋も展示室にされており、その部屋に入ると個人の邸宅で絵を見ているような気分になる。
 2階の図書館には、ポルトガル語圏の国々についてのあらゆる分野の本9万点がある。貸し出しもしている。展覧会、図書館、コンサート、講演会など、催しはすべて無料。講演会とコンサートは予約要。(羽)



51 av.Iena 16e www.gulbenkian-paris.org
●Catherine LEE (1950-)
 アメリカ人彫刻家。金属やセラミックなどの素材が洗練された抽象的フォルムを通して静寂なリズムを奏でている。8月25日迄。 
Galerie Karsten Greve : 5 rue Debelleyme 3e


●Annette MESSAGER (1943-)
 2005年ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞受賞。フランスの現代美術を代表する一人。親しみのある素材やフォルムを用いながら、残酷ともいえる現実を浮き彫りにする。1970年代の初期の私的な小品から近年制作の大規模なインスタレーション作品まで。9月17日迄(火休)。
ポンピドゥ・センター

●Rock'n Roll 39-59
 ブギウギ、ブルース、ゴスペル、様々な音楽の混合から生まれたロックンロールは戦後圧倒的な支持を得る。人種差別の意識を変化させたロックンロールの黄金時代を、当時のポスターや写真、音楽で顧みる。プレスリー没後30年を記念する企画。
10月28日迄(月休)。
Fondation Cartier : 261 bd Raspail 14e

<バカンス中の大きな国際美術展>
●ドクメンタ12
ドイツのカッセル市で5年に一度開催。今年で12回目。今回は「近代性とは過去の遺物か?」「むき出しの生とは?」「何がなされるべきか?」の3つのテーマで116人のアーティストの作品を集める。9月23日迄。
www.documenta12.de

●ヴェネチア・ビエンナーレ
 2年に一度の美術の祭典。52回目を迎える最も歴史のある国際美術展。今年のテーマは「感覚で考えよう、心で感じよう、現在形のアート」。メイン会場には招待作家100人以上の作品を展示。各国の個別展示には過去最高76カ国が参加。日本館は岡部昌生のフロッタージュ作品を紹介。11月21日迄。
www.labiennale.org
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