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子牛肉のソテー、セープ茸のソース添え。
Escalope de veau a la creme

 先日、ブルターニュの友人宅に遊びに行った時、奥さんが腕によりをかけて作ってくれた子牛肉のソテー、特に付け合わせのジャガイモ、キノコ入り生クリームソース添えがとってもおいしかった。彼女は〈死のトランペット茸〉を使ったが、ボクは、スーパーでも売っている乾燥セープ茸を使ってみた。
 まず付け合わせの準備です。セロリの根は皮をむいてから小さなさいの目に切る。エシャロットはみじん切り。セープ茸は、5分ほど弱火でゆでてからザルにあけ、流し水でよくすすいで乾燥臭さをとってから、せん切り。
 フライパンに油とバターを半々にとり、エシャロットを炒める。エシャロットが透明になってきたらセープ茸とセロリの根を加え、セロリが柔らかくなるまで炒め軽く塩、コショウ。 
 肉は、肉屋に頼んで、子牛のモモ肉から150グラムくらいのエスカロップを4枚切り出してもらったものを用意する。焼く10分前に冷蔵庫から出して両面に塩、コショウ。フライパンに油を大さじ2杯とって強火にかけ、油が熱くなったら同量のバターを加え、バターが溶けて泡立つようになったら肉を加え、フライパンを回すようにしながら2分焼き、ひっくり返してもう2分。焼いている間に、肉がぱさぱさしないように、油とバターを肉の上からかけ回すようにすることが大切だ。焼き上がったら焼き網の上にでものせ、冷めないようにアルミホイルで覆っておく。
 フライパンは洗わず、ポルト酒と液状の生クリームを加え、ぐつぐつといってきたら、エシャロット、セープ茸、セロリを加え、よく混ぜ合わせ、弱火に落として1分ほど火を通す。火から下ろしてから、バターを小さじ1杯ほどを丁寧に混ぜ入れる。
 子牛のエスカロップを皿にとり、ソースを上からかけ回し、刻んだパセリを散らす。付け合わせは、皮付きのままゆで上げたり、炒めたりした新ジャガかごはん。(真)
子牛肉のエスカロップ4枚、セロリの根1/8個、エシャロット4個、乾燥セープ茸20g、パセリ、ポルト酒大さじ2杯、液状の生クリーム大さじ100cc、油バター、塩、コショウ

●子牛の肉の選び方
フランスの子牛肉は、フランス中央部の、アリエ県、クルーズ県、オート・ヴィエンヌ県、リムザン県などのものが名高い。肉の表面がなめらかで、ツヤがあり、肉の周りについている脂が白く、多すぎないものを選びたい。安いものは、調理すると肉から水気が出てきて、焼き色もきれいにつかないし、最終的には不経済。

●エスカロップ escalope
子牛や七面鳥の肉を薄く切ったものがエスカロップ。古いフランス語で、「クルミの殻」を意味する "eschalope" が語源だという。エスカロップを焼くと往々にして、丸くしなうから。
子牛の場合は、noix(内股肉)やsous-noix(外股肉)から切り出される。七面鳥の場合は、胸肉から。
エスカロップは、縮まったりしなったりしないように、ふつう平たくのばしてからソテーされる。ぱさぱさっとしがちなので、ノルマンディー風と、マッシュルームが入った生クリームソースを添えることが多い。
ミラノ風あるいはウィーン風のごとくフライにすると、衣に守られてぱさぱさにならない。ミラノ風の場合は、トマトソース風味のパスタ、ウィーン風シュニッツェルの場合は、マッシュしたり、ソテーしたりしたジャガイモが付け合わせになる。ポピエットは、ソーセージ用の豚の挽き肉chair a saucisseをエスカロップで包んで糸で結わえたもの。











●trompette de la mort
黒ラッパ茸という訳もあるように、真っ黒なラッパの形をした小さめのキノコ。収穫期は秋から冬にかけて。ちょっとトリュフを思わせる風味を持ち、なかなかうまいキノコ。最近は値段が高くなってきているのが残念。

●なぜ油とバターを半々にする?
 今回のレシピでエスカロップを焼く時に、油とバターを半々にするのはなぜだろう? バターで肉を焼くと、表面にきれいな焼き色がつくし、風味もよくなるのだけれど、バターだけだと、どうしてもすぐに焦げてしまって味も香りも悪くなり、健康にもよくない。ところが油を半々に加えると、バターが焦げるのにブレーキをかけることができるというのがその理由だ。肉の表面をさっと固めてうま味を逃さないためには(この作業をフランス語ではsaisirという)、油ができるだけ高温の方がいいので、最初に油を熱々にしておいてから、バターを加えることになる。そのバターも、一度弱火で溶かして底に沈む不純物を除いたbeurre clarifieeを使えばさらにいい。(真)

F R O M A G E
●Shropshire
 友人の家に夕食に呼ばれた時に、今まで一度も味わったことのないチーズが出てきた。身はほとんどオレンジ色で、フルム・ダンベールのように灰色がかった青カビがしっかり混じり込んでいる。当てずっぽうに「英国のチーズ?」といったら当たってしまった。「そう、シュロップシャーというんだ」
 チーズ自慢のフランス人は、「えっ、英国のチーズ…」とバカにする人もいるが、英国人もチーズが大好きで、古くはローマ時代から作られてきている。各種のチェダー、そして素晴らしい青カビチーズのスティルトン。ウェールズに近いシュロップシャーで作られているこの青カビチーズも、スティルトン同様に牛乳が原料で、時間をかけて熟成される名品。固いけれど弾力のある身はオレンジ色をしているが、ミモレット同様にロクーと呼ばれる自然の着色剤を使っているからだ。薄く切ってゆっくり噛みしめると、こってりまろやかな風味の中から、少々刺すような青カビのうま味が広がっていく。それが、友人が出してくれたシェリー酒のかすかな甘味とひとつになって、うっとり気分。(真)

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