無邪気な少女のころを想像するのがちょっと難しい人だ。16歳でプチブル的な家庭環境に唾を吐くように家出をし、翌年には小説家デビューを果たしてしまう早熟ぶり。この処女作『L'homme facile』は過激な内容のため18歳未満禁止の処分を受けた。1976年にプロデューサーのすすめで自作の小説を映画化した『本当に若い娘』で監督デビューを果たす。これを機に表現手段をペンからカメラに持ちかえる。代表作に『堕ちてゆく女』、『ロマンスX』、『処女』、『Sex is comedy』、『Anatomie de l'enfer』など。
「一本の映画のためにどれだけ人に憎まれるかを知るのは怖い。私はテロリストではない」。女性らが心に秘める欲望の数々をスクリーンに生々しく叩き付ける彼女への風当たりは実際激しいものがある。だが、「危険や挑戦なき映画に成功はありえない」と妥協は許さず、映像表現の限界点に触れるのも辞さないブレイヤ作品には、いつだって本気だけが全編に張りつめているのだ。
2004年脳卒中に倒れたが、闘病生活を経てようやく新作『Une vieille maitresse』が完成。カンヌ映画祭コンペ部門への出品を決めた本作で「性の反逆児」のレッテルを返上。映像作家として先入観なしに彼女の真価が問われるのはこれからだ。(瑞)