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Quartier まちの風景
James Bertier 菓子職人
ガンベッタ界隈は自分に似ている街だ。
長年住んでいる人はみな顔見知りで、下町らしい気さくな雰囲気が漂うガンベッタ界隈。まるで映画の一幕を見るような懐かしさが漂っている。ここで、地元の人々から愛されている菓子店〈シュクレカカオ〉。パティシエのベルティエさんは、「この場所に店を構えたのは偶然じゃないよ。パリで一番自分にそっくりなエリアを探していたら、ここにたどり着いたんだ」という。
最高級ホテルの一つ、ムーリスでシェフ・パティシエを務めた後、8年前ここ20区に、ひっそりと店を開いた。界隈の住人は「第一にみなが自然体。シンプルってわけじゃないけど、大らかで親切だよ」という。毎朝、5時に起床して工房におりていく。近所の魚屋やチーズ屋のご主人と立ち話し、天候や各店の注文状況で、その日作るお菓子の量を決めていく。そんなこの辺り特有の、ゆったりしたリズムがお気に入りだ。「僕にとっては、これが自然で普通の生活なんだよ」
一昔前、勤務先の16区に住んでいたころは、なんだか居心地が悪かった。住まいの選択は人を表すと考えるベルティエさんは、近所の子供たちから「Monsieur le Chocolat」と呼ばれている。春の訪れを告げる復活祭は、菓子職人にとって、年間で最も大切な行事の一つ。今年は、近くの小学校へ特大チョコレートの贈り物をするそうだ。「僕はトップ・パティシエじゃないけど、ガンベッタ界隈では一番の菓子職人だよ」。卵や魚の形をしたチョコレートが店先を賑わすこの季節。イチゴにバジル、ヘーゼルナッツにミカン、キャラメルにイチジクと、甘酸っぱい果実の香りもあいまって、心が華やぐ。本音で直球勝負のベルティエさんの将来の夢は、「自分の味を、次の世代にきちんと伝えること」
東へ東へと流行が移り変わり、11区のオーベルカンフからメニルモンタンをへて、いまや20区は注目の的。とはいっても、まだまだ観光地化されていない、昔ながらのパリの面影が残っている。酸いも甘いもぎゅっと凝縮された小宇宙が存在する、ガンベッタ界隈。隣には、素敵な一軒家が立ち並ぶ〈カンパーニュ・ア・パリ〉の牧歌的な風景が広がる。ふと、こんな魅力的な〈ガンベッタ・ヴィラージュ〉に暮らしてみたくなった。(咲)
Sucrecacao : 89 av. Gambetta 20e 01.4636.8711
M。Gambetta 火〜土9h-19h30、日 9h-18h30。
●Francois PRIET
「その店を好きになるのは、そこの職人を好きにならなきゃいけない」と一家言をもつベルティエさんが心底惚れるチーズ屋。季節ごとに変化するチーズのセレクトはもちろん、名店ボルディエのバター、マルメロのペースト、農家直産のジャム、量り売りの生クリームなど、選りすぐりの食材が並ぶ。定番のブリやコンテ、トム・デ・サヴォアも美味。これから初夏にかけてはヤギのチーズがおいしくなるそうです。
214 rue des Pyrenees 20e 01.4636.8890
M。Gambetta 日の午後と月休。
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