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最近のフランスの自殺事情。
 昔からフランスで「人は復活祭を待たずに死に急ぐ」と言われるのは、灰色一色の冬から引きずってきた苦悶に、春の陽光をあてることなく死によって終止符を打つ人が多いからなのだろう。2月5日、パリで第11回自殺予防デー会議が開催された。
 先進国の中で自殺率の高い国の一つに数えられているフランスは、INSERM(国立衛生医学研究所)によると、2004年の自殺者数は10 798人(未遂15万件)、なかでも30〜59歳台は6248人、60歳以上は3446人と中高年層の自殺が急増している(男性73%)。
 一方15〜24歳台は604人(93年966人)と10年間で36%減少している。若者の自殺が減っているのは、彼らを対象とする電話相談室や「青少年の家」といったセンターの増設が、自殺の予防に役立っているよう。だが、彼らの自殺未遂件数ははるかに多く年間約4万件。未遂により危険信号を送るのは断然女性の方が多く、自殺1件に対し未遂件数は160倍にのぼる。いじめによる小中学生の自殺は少ないが、サタニズム(悪魔崇拝)系グループなどの影響による青少年の現実逃避的自殺・未遂も無視できない。
 また最近増えているのが警察官の自殺だ。1月21日、警視庁前のセーヌ川に30歳前後の女性警察官が入水自殺、その1週間後に郊外の犯罪取締班の50代の警官が自分の銃で自殺。昨年だけで48人、05年比13人増で同年秋の郊外の暴動以来のストレスが爆発したと見られる。内務省付属の50人余りの精神科医が昨年だけで2万6千件のカウンセリングに応えているという。
 中高年者の自殺で最近の話題といえば、イヴリーヌ県ギュヤンクール町にあるルノー技術センター(社員2000人)勤務の技術者・技師が昨年10月20日から2月16日までの4カ月間で3人自殺したこと。06年度売上高が前年比4%減、純益も14%減という厳しい状況の立て直し戦略として昨年2月、ゴーン社長が「4年間で26種の新型を市場に出す」目標を発表。その達成のために「各班の成果の責任を各自がとる」という個人主義生産性向上戦略が技術者・技師にプレッシャーとなっている、と組合員の一人が語っている(ル・パリジャン紙2/24付)。自殺した技術者 D氏は夜遅くまで週末も働いていたという。2月26日に日本から帰国したゴーン社長も一連の自殺に衝撃を受けながらも28日、取締役会で「社員の挫折は許されるがルノーの失敗は許されない」と生産戦略の手綱を緩めずに社員のストレス応急対策を重視する姿勢を明らかに。
 家庭をも破壊しかねないストレスによる中高年自殺症候群の前兆でなければいいが。(君)
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