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—ラジオ・オピタル—
患者の隣の病院内ラジオ局。
 ブローニュ・ビヤンクール市の公立病院アンボワーズ・パレには、小さな専用ラジオ局「ラジオ・オピタル」がある。連日、素人からマスコミ関係者まで40人のボランティアDJが、手作りの番組を放送している。DJの年齢は17歳から70歳まで。同病院とパリ14区のサンタンヌ病院の二棟の全病室に発信され、放送中にはDJの姿がテレビ映像を通して見られるようになっている。
 「ラジオ・オピタル」は、現在約20のレギュラー番組を抱える。文学、音楽、映画、健康、ユーモア、科学、旅行など、扱われるテーマも幅広い。現在、子供向けのスラム(朗読詩のセッション)のアトリエ番組も準備中とのことで、実現すれば子供が病室内の電話を使いながら、自作の詩を発表するインタラクティブな番組になる。
 プレス担当さんのすすめで、土曜の15時から放送されている『system D』という情報番組の生放送を見学。スタジオ内には、今までゲスト出演した有名人の写真が飾ってある。DJは活きのいい青年三人組セドリック&トーマ&カシムだ。新作映画の話題や、なぜか「体毛」についての考察を、若者らしいマシンガントークでぐいぐい引っ張る。セドリックは、「体毛は哺乳類だけに必要なものか?」などというマニアックな質問をいくつも用意しており、仲間がちゃかしながらも答えるといった具合ですすむ。なんだか聞いているとカフェにたむろするフレンチボーイの密談に耳をそばだてている気分だ。18歳になったばかりの最年少カシムは、新作映画紹介コーナー中に何度もつっかえ、回りに「よくわかんなかったよ」と冷やかされ、顔を真っ赤にしているのが初々しい。
 音楽が流れる間、彼らにインタビューを試みる。「放送中の逸話? 突然見知らぬおばさんが、『ここは受付なの?』って迷いながら入ってきたり。あとは、入院中の子供を番組に参加させたら、途中で気持ち悪くなったみたいで、『オエッ』っていう声が放送されちゃったこともあるよ」
 ほどなく音楽が止むと、スイッチが切り替わったかのようにDJ顔にスッと戻る彼ら。そんな彼らを、いつの間にかスタジオのドア越しから、入院中らしき子供たちがニコニコ見守っている。今日も手作り放送局は、病気と向き合う患者さんの心に、言葉のマッサージを施しているようだった。(瑞)







ラジオ番組『system D』のDJ、セドリックとトーマ。


カシムは技術担当。まだ18歳で初々しい。


www.radiohopital.com/

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