●クルミ noix
今年も隣の家のクルミの木から、わが家の庭にクルミが落っこちた。黒い皮を取り除いて収穫したら4キロくらいになった。この黒い皮、染料にもなるくらいだから、拾う時にはズボンなどにシミをつけないように気をつけよう。さっと表面を洗ってから乾かし、かごに入れて食卓脇にクルミ割りと一緒に置いておくと、ビールやウイスキーのおつまみなどに最高だ。殻をむいてから、くだいたロックフォールチーズなどと一緒にアンディーブのサラダに加えれば、冬ならではの素敵なサラダ。こんな時、クルミをオーブンに入れて、焦がさないようにしばらく煎ってから冷ますと、さらに香りが増す。ドレッシングの油はやはりクルミ油huile de noixを使いたい。515号で紹介したクルミのケーキも素晴らしい。
●松の実 pignon de pin
10年ほど前に、コルシカの海岸沿いでバカンスを過ごしたことがあった。浜は松の林に縁取られていて、大きな松ぼっくりが音を立てて落ちる。何かを拾っている人がいる…それが松の実だった。ミントティーに入れたり、ごはんやパンに加えたり、ケーキに混ぜ入れたり、あるいはペースト状にしたフェタチーズと一緒にブリックの皮で巻き込んで揚げたりする。これも軽く煎ってから使うと香りが倍増する。
●クルミ油 huile de noix
クルミの実をきめ細かく挽いてから圧搾して作られるクルミ油は、アンジューやペリゴール地方の名産として知られている。ほかの油と比べると値段は少々張るけれど、その特有の香りは貴重なもの。揚げ物や炒め物には不向きなので、料理の仕上げに振りかけて香りをきかせたり、クルミ入りのサラダだけでなく、さまざまなサラダのドレッシングとして効果的に使いたい。エシャロットとの相性もいい。香りが強すぎるという人は、大豆油やヒマワリ油と半々にするといいだろう。古くなると酸味というか苦みが強くなってくるので、小瓶で買って早めに使い切ることが大切だ。(真)
F R O M A G E ●Saint-Felicien
12区にあるお気に入りのワインバー〈バロン・ルージュ〉で出てくるサン・フェリシアンは、ヴァシュランのようにとろけそうな風味が素晴らしく、ついついワインがすすんでしまう。
直径10センチ、高さ1センチちょっとで、これよりやや小振りのサン・マルスランに外見も味も、とてもよく似ている。どちらもローヌ・アルプス地方で作られている、自然な表皮を持つ柔らかな身のタイプのチーズ。以前は山羊乳だったが、最近はサン・マルスラン同様にほとんどが牛乳製になってしまった。一度は中身が流れ出さないように陶器やプラスチックの皿に収められて市販されている。
クリームが添加してあるので、乳脂肪分が60%あり、どこまでもまろやかでクリーミー。チーズ通を自認する人には、少々物足りない味かもしれないが、チーズの初心者にぜひおすすめしたい。田舎パンなどに厚く塗って味わいたい。
ワインはロワールやボージョレのガメー種の軽い赤でもいいけれど、カンシーのようなフルーティーな辛口の白ともよく合う。(真)