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Mouloud—
住民に愛されていたホームレス。
 パリ11区、パルマンチエ界隈でよく見かけたホームレス、ムルッドが、寒さが続いていた2月27日に亡くなった。40歳前半に見えたけれど、路上生活は人を疲れさせるから35歳くらいだったのかもしれない。物乞いをする時も押しつけがましくなく、優しい視線の持ち主だった。いつも捨てられた犬の面倒を見ていて、その犬も同じような優しい目をして彼に寄り添っていた。
 サンモール通りのカフェ「シャ・ノワール」の前に、温かい空気が地下から昇ってくる通風口があって、ムルッドのすみかになっていたが、そこに急ごしらえの祭壇がもうけられた。「ムルッド、君は旅発ったけれど、君のすみかはここ、私たちの心の中…」といった彼をしのぶ詩や言葉が貼られ、学校の下校時には、父親や母親に連れられた子供たちが寄せ書きをしたり、白いチューリップの花束を捧げたりしている。
 彼には家族がいなかったけれど、時々ギターを弾いたりしている彼の姿は、街に欠かせない風景になり、この界隈の住民の心のオアシスになっていたのだろう。3月3日夕方のの追悼式には100人近くの人が集まった。(真)


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