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七グラーシュはパプリカの色と香りが決め手。
Goulache a la hongroise
 先日、行きつけのレストランで久しぶりにグラーシュを食べた。パプリカの香りが少々欠けていたけれど、柔らかく煮あげられた牛肉がとてもおいしかった。付け合わせはパスタだったが、ボクは肉と一緒にジャガイモを煮込んだハンガリー風に軍配をあげたい。少なくとも6人分くらいは作っておき、余ったら幸い、煮直すとさらにうまくなる。
 牛肉は、赤ワインで煮込むブッフ・ブルギニョン同様に、適度に脂身が混じり入った肩ロース(macreuse、paleron)がいいだろう。一つ60グラムくらいの大きめの角切りにし、塩、コショウ。小麦粉を薄くまぶしておく。タマネギはみじん切り。赤ピーマンは種の部分をのぞいて細くせん切り。ニンジンは輪切り。
 大きめのココット鍋に、本来はラードをたっぷり入れるのだが、健康を考えてオリーブ油を半カップ加える。まずタマネギを加え、軽く色がついたら肉を加える。焼き色がついたら、パプリカ粉をふりかけ、押しつぶしたニンニク3片とトマトピューレ、濃縮トマトを加え、赤ワインと牛肉ベースのスープ(あるいは水でもよい)をひたひたになるまで加える。クミン粉とオレガノも加えて混ぜ合わせ、最後に赤ピーマンを入れ、沸騰してきたら火を落としフタをして、1時間半から2時間ゆっくりと煮込んでいく。
 この間に、ジャガイモの皮をむき、四つに縦割りにし、熱湯で7分目にゆで上げておく。肉がほとんど煮上がったという時に、このジャガイモを入れ、それがほくほくっと煮上がったらでき上がりだ。最後に塩、コショウで味を調える。好みでレモンの皮を適量加えて香りをつけてもおいしい。
 ワインはサンタムールやモルゴンなどのボージョレの赤ワインがおすすめ。(真)
6人分:牛肉の肩ロース1.2キロ、ジャガイモ1キロ、タマネギ中4個、赤ピーマン2個、ニンジン1本、ニンニク3片、トマトピューレ400グラム、濃縮トマト大さじ2杯、パプリカ大さじ3杯、クミン小さじ2杯、オレガノ小さじ1杯、赤ワインカップ1杯、あったら牛のスープ約2リットル、塩、コショウ

●ラードsaindoux
このごろは軽い料理ばかりがもてはやされて、ラードの使用量がめっきりと減ってしまった。今回のレシピも本来はラードを使う。ブッフ・ブルギニョンなどで肉を炒めるときもやはりラード。ラードの方が肉がくっつきにくいし、味にこくが出る。チャーハンだってラードでなければおいしくない。コレステロールの心配がない人は豚肉加工品店charcuterieで、「Un paquet de saindoux s.v.p.」。以前は量り売りだったが、最近はバターのように250グラムの包みになっていることが多い。




●Poivron 
オーストリアのウィーンで朝市に出かけたことがあったが、少しずつ色合いの違う赤ピーマンだけが売られている一角があってビックリした。そういえば、パプリカの国として名高いハンガリーはすぐ隣だ。フランスでは、赤ピーマンはバスク地方の名産とされていて、バスク風 la basquaiseというと必ずこの赤ピーマンが入っている。赤ピーマンにトマト、タマネギ、ニンニクを加えてクタクタになるまで煮込み、エスプレットの唐辛子をきかせたピペラードはバスク地方の名物料理だ。最後にやはりバスク名産の生ハムを薄く切ってのせ、オーブンでかりっと焼くとうまい。
フランスでは、赤ピーマンの皮は生で食べると消化に悪いとされている。そこで、まず二つに割ってへたpedonculeをとり、種の部分をのぞき、皮の方を上にしてオーブンの上火で真っ黒になるまで焼く。こうすると簡単に皮がむけるし、香りもよくなる。冷ましてから好みの形に切り分け、オリーブ油を使ったビネグレットソースをかけてサラダに。ニンニク風味をきかせてもおいしい。〈トマト+モッツアレラ〉サラダもいいけれど、ボクは、〈赤ピーマン+モッツアレラ〉サラダの方が香り高く、好みだ。









●paprika
 赤や黄色のハンガリー産唐辛子を乾燥させて粉にしたものがパプリカ。スペインでは辛さによって数種のパプリカがあるが、フランスで売られているのは、ほとんどが辛みなしのpaprika doux。柔らかい香りと甘さが特長だ。グラーシュのような煮込み料理、スープ、キャベツの詰め物などに使われる。煮込みの色を濃くしたい時にも重宝する。グラーシュのように大量に使う時は、小瓶入りでは割高。朝市などで量り売りのものを100グラムほど(3e前後)買って、瓶に入れて密封して保存するのがいい。

F R O M A G E
●Beaufort
 カンタル、エマンタル、グリュイエールなどのチーズは、〈a pates pressees cuites〉といい、凝固させた乳を加熱し、さらに圧搾して形を作り長期間熟成させるので、水分が少ないために身が固く、長期保存がしやすい。どれも山地のチーズで一年中チーズ屋に並んでいるが、食べごろは、山地で香り高い夏草を食べた放牧牛から作られたチーズが6カ月以上熟成された時期にあたる、冬から春にかけて。
 ボーフォールも〈a pates pressees cuites〉に属す。アルプスの西側、標高2000m近いサヴォア山地で作られていて、コンテの親戚といってもいいチーズだが、薄く切って噛みしめていると、次から次へと、繊細な風味が花開いていく。熟成6カ月ほどのものはハシバミを思わせる木の実の香りが素敵だが、1年以上熟成されたものは、身の色も象牙色から濃いクリーム色に近づき、味にもぬか漬けを思わせる深みが出てくる。食後だけでなく、小さく切ってサラダに入れてもうまい。(真)    


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