●ラードsaindoux
このごろは軽い料理ばかりがもてはやされて、ラードの使用量がめっきりと減ってしまった。今回のレシピも本来はラードを使う。ブッフ・ブルギニョンなどで肉を炒めるときもやはりラード。ラードの方が肉がくっつきにくいし、味にこくが出る。チャーハンだってラードでなければおいしくない。コレステロールの心配がない人は豚肉加工品店charcuterieで、「Un paquet de saindoux s.v.p.」。以前は量り売りだったが、最近はバターのように250グラムの包みになっていることが多い。
●Poivron
オーストリアのウィーンで朝市に出かけたことがあったが、少しずつ色合いの違う赤ピーマンだけが売られている一角があってビックリした。そういえば、パプリカの国として名高いハンガリーはすぐ隣だ。フランスでは、赤ピーマンはバスク地方の名産とされていて、バスク風 la basquaiseというと必ずこの赤ピーマンが入っている。赤ピーマンにトマト、タマネギ、ニンニクを加えてクタクタになるまで煮込み、エスプレットの唐辛子をきかせたピペラードはバスク地方の名物料理だ。最後にやはりバスク名産の生ハムを薄く切ってのせ、オーブンでかりっと焼くとうまい。
フランスでは、赤ピーマンの皮は生で食べると消化に悪いとされている。そこで、まず二つに割ってへたpedonculeをとり、種の部分をのぞき、皮の方を上にしてオーブンの上火で真っ黒になるまで焼く。こうすると簡単に皮がむけるし、香りもよくなる。冷ましてから好みの形に切り分け、オリーブ油を使ったビネグレットソースをかけてサラダに。ニンニク風味をきかせてもおいしい。〈トマト+モッツアレラ〉サラダもいいけれど、ボクは、〈赤ピーマン+モッツアレラ〉サラダの方が香り高く、好みだ。
F R O M A G E ●Beaufort
カンタル、エマンタル、グリュイエールなどのチーズは、〈a pates pressees cuites〉といい、凝固させた乳を加熱し、さらに圧搾して形を作り長期間熟成させるので、水分が少ないために身が固く、長期保存がしやすい。どれも山地のチーズで一年中チーズ屋に並んでいるが、食べごろは、山地で香り高い夏草を食べた放牧牛から作られたチーズが6カ月以上熟成された時期にあたる、冬から春にかけて。
ボーフォールも〈a pates pressees cuites〉に属す。アルプスの西側、標高2000m近いサヴォア山地で作られていて、コンテの親戚といってもいいチーズだが、薄く切って噛みしめていると、次から次へと、繊細な風味が花開いていく。熟成6カ月ほどのものはハシバミを思わせる木の実の香りが素敵だが、1年以上熟成されたものは、身の色も象牙色から濃いクリーム色に近づき、味にもぬか漬けを思わせる深みが出てくる。食後だけでなく、小さく切ってサラダに入れてもうまい。(真)
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