●Palais Royal
喜劇女優ヴァレリー・ルメルシエ3本目の監督作品は、とある王室のお家騒動。単純なギャグの連続には時に苦い笑いが洩れてしまうけれど、王家というだけで「特別」に扱われ、自らも「特別」だと思ってしまう人々への批判と同情の混ざった独特の視点が興味深い。ランベール・ウィルソン、カトリーヌ・ドヌーヴの「王家」ぶりもなかなかの見もの。(海)
●Lonesome Jim
監督業にも進出するスティーヴ・ブシェーミの長編3作目。NYの生活に見切りをつけ、故郷に戻るダメ男が主人公。流されるまま看護婦と寝て、工場で働く。再び過去のうんざりする日常に飲み込まれる彼に、出口はあるのか? DVカメラを武器に16日間で撮影された本作は、ケイシー・アフレック、リヴ・タイラーら若手スターとの共犯関係が結実した幸福な一本。(瑞)
Melvil poupaud (1973-)
どんなに非情な青年を演じても、甘いマスクが邪魔をして「王子様」から脱皮できないメルヴィル・プポー。だが素顔はそんな生温いイメージを裏切る硬骨の士だ。「有名になりたければ出ればいい。だけど明日には忘れられる」とTVの仕事には見向きもせず、「質の低い映画には出ない」と作品選定も厳しい。そのうえ、「俳優の成功は80%がチャンスによるが、音楽なら自分の運命をより支配できる」とロックグループを組み、数年後にはソロアルバムも発売。「ヴァンサン・ドレルムよりマリリン・マンソンが好き」という趣味も、反骨精神旺盛な彼らしい。また自ら短編作品を撮り、MK2からDVDも発売されている。
公開中のフランソワ・オゾン監督の新作『Le temps qui reste』では、余命数カ月と宣告される若きカメラマンに扮する。オゾン監督に、「少しうわの空な存在感がいい。ロメールの『四季の物語』シリーズで、彼は他の女優と同じくらい優雅で官能的に撮られた唯一の男優」と評されるプポー。だがいつか、思い切り醜く、感情を爆発させるプポーもスクリーンで見てみたいもの。彼自身が撮る短編では、自らをモンスターに見立て愉しむこともあるという。本人が王子様的虚像を、一番壊したがっているのかもしれない。(瑞)
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