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—コレージュ・ド・フランス—
公開講座で最先端の研究を垣間見る。
 フランスが誇る高等教育機関コレージュ・ド・フランスは、世界でも例を見ないユニークな存在だ。カルチエラタンにある校舎では、連日一流の教授陣による密度の濃い講義が公開されている。受講は無料で登録の必要もない。プログラムを入手し、講義に直接出席すればよい。
 1530年にフランソワ一世が6人の "lecteurs royaux" と呼ばれる王立教授団を任命してから約5世紀。驚くほど長寿なこの機関では、現在52人の教授が、物理学、化学、生物学、哲学、考古学、経済、歴史、文学、言語学など様々な講義を展開する。
 今回は、噂には聞いていた「知の殿堂」を恐る恐る見学することに。私が選んだ、ではなく時間的に選ばざるをえなかったのは、『部分導関数の方程式と写像』という、タイトルからして意味不明な数学の講義。受講者は約40人。講義前は常連同士握手を交わし談笑していたが、講義が始まると教室は私語一切なしの真剣な空気に包まれた。
 教授は図表や数式で満たされたスライドを多用し熱心に説明。私の頭の中はただ星が点滅し続けるのみ。横には、微笑みを浮かべ講義に聞き入る日本人らしき女性の姿が見えた。私にとっては大変長く、そしておそらく他の人には大変充実した一時間が流れ、講義が終わると、一斉に拍手が沸いた。その後も教授は質問に丁寧に答えている。理想的な教育のひとつの形を垣間見たような気がした。
 ここで教授に任命されることは、その分野で超一流を意味する。アンリ・ベルグソン、ミシェル・フーコー、ピエール・ブルデュー、ウンベルト・エコー、クロード・レヴィ=ストロース、ポール・ヴァレリー、ロラン・バルト…。歴代の教授の名に感嘆するばかりだ。コレージュ・ド・フランスには、通常の大学のようにプログラムにのっとった、ともすれば毎年同じ内容となりかねない講義は存在せず、各教授の最先端の研究を伝える場として機能しており、受講者は現段階で最高の知識に浴することができるという。そしてそれは、基礎なくしては敷居が高くて、講義には到底のぞめないものであることも意味する。自分の専門分野への理解をより深めたい人には、間違いなく素晴らしい機関であるだろう。(瑞)



クロード・ベルナール
(1813-1878)
消化器官の研究で知られ
コレージュ・ド・フランス
でも教鞭をとった。

College de France :
11 place Marcelin Berthelot 5e


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