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<Musik>
Made in Germany
 ドイツの代表的食材「酢漬けキャベツ」+ロックの造語「クラウト・ロック」は、1968年頃からドイツに出現した実験的ロックバンド群のことで、英国のメディアが70年代に初めて使った表現だ。クラウト初期のアモン・デュールの「Mama Duul und ihre Sauerkrautband spielt auf(ママ・デュールが彼女の<シュークルート・バンド>と演奏を始める)」の曲名が起源ともいわれる。
 クラウト・ロックはスタイルや特定のジャンルではない。多彩な音楽の流れが共存する宇宙のようなものだ。ミュンヘンのアモン・デュールIIやW・ヘルツォークの映画音楽で有名なポポル・ブフ。ハンブルグの、民族音楽色が濃くサイケな音楽のグルグル。ファウストのメンバーもハンブルグ出身だ。鉄鋼業の盛んなルール地方のデュッセルドルフには、その風土を反映するような反復的でミニマルな電子音楽のクラフトワークやノイ!。ケルンのカン。ベルリンのタンジェリン・ドリームやクラウス・シュルツェ、クラスター、アシュラ・テンプルなどのバンドは、パーカッションなしの空気的で覚醒的で無調な電子音楽で「コスミッシェ・ムジーク(宇宙音楽)」とも呼ばれる。
 クラウト・ロックは1968年に始まり1975年頃に終わる。ドイツの「軌跡の経済復興」と同時期だ。1974年はクラウト大転換の年。クラフトワークの「アウトバーン」の世界的なヒットがあるし、ファウストは「ファウストIV」を収録(が、その後15年間の沈黙に入る)。タンジェリン・ドリームは新会社バージン社と契約し「フェードラ」を出す(が、その後ニューエイジ音楽に沈んで行く…)。ダモ鈴木(写真右下)がカンを抜けたのも74年、彼を失ったカンは最後の傑作「スーン・オーバー・ババルマ」を世に送り出す。70〜74年はクラウトの黄金期で、その後D.A.F.やアインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンのようなヌーベルバーグの時代が到来する。
「クラウト・ロックは70年代ドイツロック全般のことでなく、ひと握りの先駆者たちの強固な姿勢のことだ」とコープは言う(*)。そうだ。カン、ファウスト、ノイ!のようなグループの強さは、主流の英米産ロックを真似たり、それと張り合うことを拒んだ強さでもあった。レイノルズは、彼らがリズム&ブルースのハーモニーを排除し、リズム・空間・音色という、音楽の礎まで音楽を引き戻したこと、長い音層・空気のようなメロディーに挿入されるかん高い電気音・ノイズ・叫び・囁き声・エコー・残響などが、モーター的ともいえるメトロノームで刻まれたようなドイツらしいグルーブ、リズムの鼓動に支えられた音楽を創りだしたことなどを説明している(**)。
 ブライアン・イーノは「クラウト・ロックはベルベット・アンダーグラウンドが地面に放った手袋を拾った」と言う。太陽的で昼行性、ソフトで英国的なビートルズの音楽の側よりも、アンダ−グラウンドの、ほのかに危険をはらんで都会的で、いつもカミソリの刃の上にいるような音楽的感性がドイツ人と似ている(とイーノが言う)グループの近くにいたかった、ということなのだろう。(Marc / 訳:美)

* Julien COPE, Krautrocksampler - petit guide d'initiation a la grande Kosmiche Musik; ed. Kargo&L'Eclat 2005, 22e
** Modulations-une histoire de la musique electronique, ed.Allia 2004 中にSimon Reynoldsの記事が掲載されている。

カンのメンバー。(左から)ダモ鈴木、ジャッキ・リーベツァイト、イルミン・シュミット、ホルガー・シュカイ、ミヒャエル・カローリ。
ロンドン初公演に行くためのフェリーの前で。





1971年にリリースされたカンのアルバム「タゴマゴ」。ファウストの「ファウスト」と同様に、当時のドイツでは無視されたに近かったがイギリスでヒット。「ファウスト」とともに今日では伝説である。


熱唱!ダモ鈴木。グループがコンサートのために訪れたミュンヘンの路上で歌っていたところを見初められ、カンに参加。


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