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—ナンシー市のマカロン工房—
200年前の修道女のレシピがよみがえる。
 今回はマカロンの歴史をひもとくため、ナンシーにある〈Maison des Soeurs Macarons〉へ。ここでは200年以上にわたり、ひそやかに語り継がれてきたマカロンの製造法が、今も再現されているという。
 調理場に立つのは、店の若旦那ニコラさん。これからマカロンを焼き上げるところだ。オーブンには円形の艶やかな生地が並んでいる。いつもケーキ屋で見かける、クリーム入りのカラフルなものとはかなり違う。「現在マカロンのレシピは約250種類存在します。中でも私の店のマカロンは、16世紀にカトリー ヌ・ド・メディシスが我が国に初めて持ち込んだ元祖のマカロンに、最も近いといわれています」
 ここで、ニコラさんが語るマカロンの歴史に耳を傾ける。18世紀末、医者でカトリック信者だったゴルモン氏は、革命で追われた修道女二人を家にかくまった。彼女たちはゴルモン氏に生活費を払いたいという思いから、マカロンの手作り販売を始める。彼女たちのマカロンは大変な評判を呼び、商売は大成功。ゴルモン氏の家があった通りは、後に「マカロン修道女通り」と名付けられ、今も市内に残っている。
 そこまで話し終わると、ニコラさんはいったん調理室からの退出を促す。「秘密なので」とだけ言い、目の前の引き戸をぱたんと閉めてしまった。耳をそばだてると、中からは軽い機械音のような音がする。しばらくして再び引き戸が開けられた。「レシピを知っているのは、前経営者の父と私だけ。妻も従業員も知りません」。もともとナンシーで20年以上パティシエをしていた彼の父ジャン=マリさんは、15年前、歴史ある修道女のレシピを再現しようと、店の権利と同時に秘蔵レシピを手に入れた。そして2000年、レシピは息子ニコラさんへと受け継がれる。現在、店のマカロンはすべてニコラさんの手によるもの。「私は以 前会社勤めをしていました。父の退職の折、彼から一年間、マカロン作りの指導をみっちり受けたのです。やはり真の歴史を持ったお菓子を作り出せる喜びは 大きいですね」
 そして、お待ちかねの試食会。一口ほうばると、アーモンドの香ばしさが舌に広がっていく。甘すぎず形も小さいので、次へ次へと手が伸びてしまうのだっ た。(瑞)




おいしそうに焼き上がったマカロン。


Maison des Soeurs Macarons :
21 rue Gambetta 54000 Nancy 03.8332.2425


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