"バスケットボールでは、不器用なプレーヤーのことを "manquer de mains(手がない)"、とか "avoir les mains carrees(手が四角だ)" などという。また "jouer avec des moufles(手袋をしてプレーする)" という表現もある。不器用なプレーだからといって別に寒くはならないが、それで負けたりしたら、逆にかっかかっかと熱くなり、からかいたくなるのも当然だ。コートで鮮やかなプレーを披露する選手は "bien dans son jardin(自分の庭で調子がいい)"。"faire une brique(レンガを決める)" は、バックボードでバウンドさせ、リングに触れることなく決めたみごとなシュートのこと。
tenir la corde
なんだい、これは? ドーピング違反者は、少なくともこっそりとやるけれど、これには慎みというものがないじゃないか。度を超している! こんな風にロープにつかまりながらゴールできると思っているのか! えっ? あっ、そうですか、"tenir la corde" というのはコジツケ的表現…。もちろん知っていましたよ。レーサーがカーブを切るときに内側のポジションを保つこと、つまりいちばん最短の軌道をとることだということは。そうでなかったら、何周か後には、20本ほどのロープがめちゃくちゃにこんがらかってしまうでしょ! "queue de poisson(割り込み追い越し)" があったり、何台かが "tete-a-queue(スピン)" したりしたら、レーサーたちはがんじがらめ!
un cafe creme
フランスでスポーツといったらサッカー。英国人が生みだしたスポーツだけれど、さまざまなテクニックの呼び方は、各国それぞれの好き勝手だ。"cafe creme(ミルクコーヒーのような)" キックというのもその一つで、お盆に載せて出されてもいいような、ウイングからのみごとなセンタリングのこと。"tasse de the(紅茶のような)" でも "pinte de biere(ワンパイントのビールような)" でもない。メキシコ風に "sombrero(ソンブレロ)" というのもあるが、これは、相手の頭越しに小さくロブし、ふたたびボールを取り戻すという曲芸的なテクニックをうまく表現している。英国人のかちっとした山高帽や、くにゃっとしたフランス人のベレー帽だったら、こうはうまくはいかない。
「ミルクコーヒーです」
un lievre
今年のアテネ五輪でも、いちばん人気は陸上のトラック競技だった。この数年は、その華々しい成果と同時に、ドーピング違反による堕落ぶりが話題になっている。実際、最近の記録を見ると何人かの選手は "fusee(ロケット)" のようだし、 "lievre(野ウサギ)" より速い。どのみち、野ウサギがトップでテープを切ることはめったにない。というのも "lievre" はペースメーカーのことだから、新記録のために他選手を引っ張ってはいくけれど、最後のスプリントが来る前に棄権するのが常。最後の最後まで先頭を切っていたというのに、"se faire coiffer sur le poteau(ゴール直前で追い抜かれる)" のは野ウサギにだってとってもつらいことだ。