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Quartier まちの風景
昔の穀倉・鳩舎に暮らす。
RER C線 Epinay-sur-Orge駅。50m2。
昔の鳩小屋に住んでいる人がいると聞いたので、訪ねてみた。
ディディエさんの家はパリ南東の郊外、ヴィルモワソンにある。この辺りはなだらかな起伏に富み、その地形を縫うようにオルジュ川が流れる。のどかなイル・ド・フランスの風景だ。ヴィルモアソンは古い町だ。その歴史は12世紀までさかのぼり、サン・ローラン教会を中心に発展した小さな中世都市だった。
この教会に隣接した路地に小さな建物が並ぶ。門にはめ込められた石版が語るとおり、この一連の建物は、領主に仕える小作人たちや家畜が代々暮らす領主所領農家だった。この袋小路の一番奥にあるのが、ディディエさんの家だ。
各階が15m2ほどの縦長の3階建てという外見からして、普通の住宅として建てられたのでないことは想像がつく。かつて、下の階は穀倉、屋上は鳩舎であったらしい。現在はお人形の家のように可愛らしい住居だ。
玄関前のテラスには、テーブルと椅子が並べられている。夏はパラソルを立て、ほとんどここで暮らす。一階は居間と台所。小さな部屋に不釣り合いなほど大きな暖炉がある。田舎の家には欠かせない暖房設備だ。ディディエさんはジャズのサクソホン奏者で、最近はチューバも手がけている。巨大なブラスのチューバが美しい家具のように置いてある。
下の階に降りると、そこは彼の寝室兼仕事部屋。ベッドの他にコンピュータやキーボードが置いてあり、楽譜が散らばっている。この家は斜面に建っているのでここは半地下になる。窓から見える緑が気持ちよい。
居間の上は、6歳になるバルバラちゃんの寝室と浴室。そのまた上にあがると、見晴らしのよい屋上。かつてはここに鳩が住んでいた。「ここは誰にも覗かれないから、真っ裸で日光浴にはもってこいだよ。いつでもどうぞ」とディディエさんはウインクする。
それまでパリ暮らしだったディディエさんがここに引っ越したのは4年前、子供の環境を考えてのことだった。この路地には、外部の車が入ることもなく、子供たちは安全に遊べるし、長屋住民の交流は気楽だと彼はいう。
ディディエさんはまだ当分、パリへ戻ろうとは考えていない。少なくともバルバラちゃんがティーンエージャーになり、都会の遊びがしたくなる年頃になるまでは。それまで、この愛らしい家で暮らすだろう。(秀)
小さな部屋に不釣り合いなほど大きな暖炉。田舎の家には欠かせない暖房設備だ。
門にはめ込められた石版。
ロシア人墓地を訪ねた。
ロシア映画ファンのディディエさんに誘われ、車で10分のサント・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボアにあるロシア人墓地を訪ねた。
墓地の一画にあるノートルダム・デ・アソンプション教会は丸いタマネギ型のキューポラ屋根を頂き、門にはビザンチン様式の聖画(写真)が描かれている。教会のわきですれ違った司祭は、髭を生やし、重々しいローブを身にまとう。ここはロシア正教の世界だ。墓地には、カトリックとは形が異なるロシア教の十字架が立てられた墓が4千も並ぶ。
もともと、この墓地はロシア革命勃発後、祖国へ帰れなくなった人、また、フランスへ亡命した人々を葬る墓地として設立された。当然、多くは貴族であり、墓石に刻まれた名前を見て歩くと、爵位のある名前が多い。以後、フランスで活躍した多くの芸術家、知識人がここに眠る。バレエダンサー、ヌレーエフもその一人だ。
ディディエさんは墓の間をすたすた歩き、一段と立派な墓の前で立ち止まる。映画監督アンドレイ・タルコフスキーの墓だ。ディディエさんの庭で摘んだ一輪の花を捧げ、冥福を祈った。(秀)
*Cimetiere Russe : Rue Leo-Lagrange
91700 Sainte-Geneviere-des-Bois
01.6015.1140
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