●Eglise Saint Serge
(隣人との戦争がなければ)「朝7時には教会の鐘が聞こえて、どこか小さな田舎の村にいるような気分」というジュリアンさん。鐘の音は、近くのロシア正教会のものだ。教会正面は木造り、後部はレンガ造り、祭礼の間は2階にある。もとはドイツ人牧師が19世紀に創立したルター派の教会だったが、第一次世界大戦下フランス政府に差し押さえられ、1924年競売にかけられた。これを買ったのが1917年の10月革命で亡命してきていたロシア正教の聖職者たちだったのだ。本国ロシアでは共産主義のもと第二次大戦後まで神学校は閉鎖されていたが、ここには1926年に神学校も設立され、一時はヨーロッパ唯一のロシア正教神学校だった。現在でもフランスのほか、ロシア、ルーマニア、フィンランドなどから来た神学生たちが、併設の寄宿舎に暮らしながら聖職者になる勉強を続けている。
パリには他にもロシア教会があるが、ミサの回数が少ない。ここは平日も毎日7時半と18時にミサがある。夕暮時の、澄んだ低い声の合唱が木の床に染み込むようなミサ。わずかなロウソクの灯が点された暗い祭礼の間は、これまた〈霊域〉であった。(美)
93 rue de Crimee 19e
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